クラウドコールセンターとは?9つの機能と5つのメリットを解説

クラウドコールセンターとは

クラウドコールセンターとは、インターネットとパソコンさえあれば、どんな場所でも運用できるコールセンターです。
クラウドコールセンターは、リモートワークが進む中、採用する企業が増えています。
しかし、実際に導入しなければ詳細はわかりませんし、導入への不安の声があることも事実です。
そこで本記事では、クラウドコールセンターの詳細や機能、メリット、デメリットについて誰にでもわかるように解説します。
この記事を読めば、クラウドコールセンターについての知識が深まり、コールセンター導入の悩みを解決する足がかりになります。

クラウドコールセンターとは

クラウドコールセンターは、通常コールセンターシステムに必要なサーバーやシステムなどを、自社で購入・開発する必要がありません。
なぜなら、クラウドコールセンターシステムを提供している会社(プロバイダ)のシステムを使用するからです。
SaaS型コールセンターとも言い換えられます。

例えば、Web会議ツールのZoomもクラウドです。
Zoomという企業が提供するシステムを無料、もしくは月額課金で使用しています。
クラウドコールセンターも同じく、システムを販売する企業に料金を払って使用します。
インターネットとパソコンさえあればどこでも使える、それがクラウドコールセンターです。

クラウドコールセンターが普及する前はほとんどが「オンプレミス型」のコールセンターでした。
クラウドコールセンターの理解を深めるために、「コールセンターの種類」についてもう少し深掘りします。

コールセンターとは

コールセンターとは、顧客との電話に対応する場所や部署のことです。
近年では、CTIの登場でコールセンター業務が効率化されました。
CTI(Computer Telephony Integration)を直訳すると「コンピューターと電話の統合」、かなり簡単に言い換えると「電話機をパソコンの中に入れる機械のこと」です。
昔は電話機と電話回線がなければ電話はできませんでしたが、CTIによりネットとパソコン1台で電話の対応が可能になりました。
そしてクラウド型コールセンターの普及により、業務がさらに効率化されました。
クラウド型コールセンターと対比されるのは、オンプレミス型コールセンターです
クラウド型とオンプレミス型について詳しく解説します。

クラウド型とオンプレミス型の違い

クラウド型コールセンターとオンプレミス型コールセンターの大きな違いは「システムやサーバーを自社が保有しているかしていないか」です。
両者の違いを一覧にまとめます。

クラウド型 オンプレミス型
システム 提供元 自社
サーバ 提供元 自社
サーバの設置 不要
業務場所 ネットとPCがあればどこでも サーバがある場所
初期費用 低い 高い
導入ハードル 低い 高い
導入スピード 早い 遅い
運用コスト 中程度 低い
機能追加費用 低い 高い
メンテナンス 提供元 自社
カスタマイズ性
システム連携
BCP対策 可能 不可

クラウド型とオンプレミス型についてそれぞれ解説します。

クラウド型

クラウド型コールセンターのメリットとデメリットを紹介いたします。

メリット
・導入・運営の物理的コストが不要
・導入までが早い
・在宅コールセンターも可能
・災害時のリスクが少ない

デメリット
・セキュリティの心配
・カスタマイズの柔軟性が弱い
・連携システムはプロバイダに依存

クラウドコールセンターのメリットとデメリットについては後で詳しく解説します。

オンプレミス型

オンプレミス型コールセンターのメリットとデメリットを紹介いたします。

メリット
・自社に合わせたカスタマイズが可能
・セキュリティが安心
・システム連携が簡単
デメリット
・初期費用の高さ
・実際に稼働するまで数か月
・移転・災害時のリスク

オンプレミス型の特徴はサーバー設置やシステム設計などの初期費用がかさむかわりに、自社に合わせたカスタマイズやシステム連携ができることです。
最初から最後まで社内で完結するためセキュリティ面で安心できます。

しかし、実際にコールセンターとして活用できるまでに数か月かかる地震発生時などに物理的ダメージを受けてしまう可能性があるオペレーター増員のための移転時に手間がかかるなど、考慮するべき点もあります。

ここまで、クラウド型コールセンターとオンプレミス型コールセンターの違いを説明しましたが、コールセンターにはさらに2種類に分けることができます。

・顧客からかかってくる電話に対応するインバウンド型
・顧客へ電話をかけるアウトバウンド型

インバウンド型とアウトバウンド型の違い

インバウンド型コールセンターとアウトバウンド型コールセンターの違いは「受電者と架電者の違い」にあります。

電話をかける人 電話を受ける人 具体例
インバウンド型 顧客 企業(自社) クレーム対応
アウトバウンド型 企業(自社) 顧客 テレアポなどの営業

顧客から自社に電話がかかってくるか、自社から顧客へ電話をかけるのか、のシンプルな違いです。

それぞれ詳しく解説します。

インバウンド型

インバウンド型は、顧客からかかってくる電話に対応するコールセンターです。

具体例を挙げると
・商品詳細の問い合わせ
・商品購入の申込
・商品故障時の問い合わせ
・商品に対するクレーム
などになります。
現在は電話のみではなく、メールやチャット対応が増えサポートの幅も拡大中です。

アウトバウンド型

アウトバウンド型は、企業から顧客に電話をかけるコールセンターです。
インバウンド型のように受け身ではなく、自発的に電話をかけます。
商品購入前の見込み顧客に対する営業目的が多いですが、商品購入後の顧客に対するカスタマーサクセスを目的とする場合もあります。

クラウドコールセンター9つの機能

クラウドコールセンターの代表的な機能は以下の9つです。

機能名 機能説明 活用場面
録音 通話内容の自動録音 トラブル発生時の聞き直し
CRM(顧客関係管理) 顧客の情報管理 顧客の性別、年齢などの情報を一元管理
ACD(着信呼自動分配装置) 着信の自動振り分け 1人のオペレーターへの電話集中を回避
顧客情報のポップアップ 受電時、顧客情報が表示される 「30代・女性・6月に商品購入」などの情報が即時自動表示
IVR(自動音声案内) 受電時、音声ガイダンスで自動応答 「使用方法に関するお問い合わせは①を押して下さい」
FAQ よくある質問のまとめ 顧客からの質問に素早く答える
クラウドPBX ネット上の電話交換機 物理的スペースが不要
リアルタイムモニタリング 通話内容を同時に聞ける 新人オペレーターの支援要請の際に通話内容を聞く
通話データ分析 応答率などのデータ オペレーターの教育

クラウドコールセンターはシステム連携することにより、業務の効率化が進みます。
電話対応の質の向上にも貢献し、顧客1人当たりにかかる電話時間や応答率、放棄呼率などの分析で現状の問題把握が可能です。
また、FAQなどよくある質問をまとめることで、オペレーターの対応を均一にし、新人オペレーターでも迷わずに回答できます。
クラウドコールセンターのメリット・デメリットについてもう少し掘り下げます。

クラウドコールセンター5つのメリット・3つのデメリット

クラウドコールセンターの5つのメリットと3つのデメリットを解説します。
クラウドコールセンターはたくさんのメリットがありますが、デメリットがあることも事実です。
導入の検討材料にしてみてください。

クラウドコールセンター5つのメリット

クラウドコールセンターの5つのメリットは以下になります。

・導入や運営の物理的コストが不要
・導入までが早い
・在宅コールセンターも可能
・お客様満足度の増加
・自動化部分を増やすことにより生産性向上

更に詳しく1つずつ解説します。

導入・運営の物理的コストが不要

クラウドコールセンターは、導入・運営の物理的コストが必要ありません。
物理的コストとは「場所」です。
サーバーを置くスペースやPBX(電話交換機)を置くスペースを確保する必要や選定する時間さえいりません。
クラウドコールセンターサービスに申し込むだけで導入でき、運営もプロバイダが行ってくれるため、本質的なコールセンター業務に集中できます。

また、クラウド型ではなく、オンプレミス型を採用し自社でサーバーを管理する場合は停電や災害時のリスクを考える必要が出てきます。
その点、クラウドコールセンターは物理的なスペースを必要としないため、運営にかかるコストは月額費のみで、災害時のリスクも考慮に入れる必要がありません。
また、従量課金制(使った分だけ払う制度)を採用しているプロバイダもありますので、無駄な支出をカットできます。

導入までが早い

クラウドコールセンターの導入は数日で終わります。
システム導入まで最短翌日のプロバイダもあれば、3営業日程度のベンダー、5営業日のベンダーもあります。
つまり、1ヶ月どころか、1週間もあれば実際に運用開始できるということです。
コロナ禍でクラウドコールセンターが普及したのも、この導入のスピード感があったからです。
コールセンターの構築に時間を使うのか、即座に導入して業務改善に時間を使うのかを考えた場合、クラウドコールセンターは運用改善に早い段階からリソースを割けられるため、顧客の満足度にも直結します。

在宅コールセンターも可能

クラウドコールセンターは、インターネットとパソコンさえあれば場所を選ばないため、在宅勤務も容易です。
在宅であれば子育て中でもテレワークでコール業務できるため、人手不足の解消にもつながります。
日本全国47都道府県どこでも大丈夫なので採用の幅も広がります。

しかし、「在宅勤務のオペレーターでは管理しきれない」という声もあるでしょう。
クラウドコールセンターにはモニタリング機能があるため、オペレーターの稼働状況が一目でわかります。
オペレーターでは対応しきれない問題にもリアルタイムでSV(スーパーバイザー)が支援可能です。

また移転や拠点増加も簡単にできます。
オンプレミス型であれば、オペレーターを増員すると物理的なスペースも同時に広げなければなりません。
しかし、クラウドコールセンターであれば在宅勤務でも業務が可能なため、移転も増員もスムーズです。
例えば地震などの局地的な自然災害時にもオペレーターが分散しているので、コール業務がストップすることはありません。

お客様満足度の増加

クラウドコールセンターを使えば、顧客の満足度増加につながります。
録音による通話対応の可視化や応答率などのデータ分析により、オペレーターの質の向上、新人オペレーターの育成スピードの加速が可能です。
オペレーターの稼働状況もわかるため、個々の生産性向上も見込めます。
具体的には、
・オペレーターが応答するまでの待ち時間の減少
・顧客のニーズに合わせたオペレーターの選出
・顧客情報のポップアップ表示による対応の質の向上
などがクラウドコールセンターで可能です。

自動化部分を増やすことにより生産性向上

クラウドコールセンターであれば、AIやチャットボットと併用することで24時間対応も可能です。
人が対応するメリットもたくさんありますが、自動化することで顧客のためになることも多くあります。
自動音声案内により最適なオペレーターへすぐつなげられますし、チャットボットを導入することで電話のハードルが高い顧客にもアプローチが可能です。

また、通話データ分析を自動で行うことで、問題点に対する具体的な改善策を考えるための本質的な時間にリソースを割けます。
クラウドコールセンターは多くの業務を自動化できるため、生産性向上につながります。

クラウドコールセンター3つのデメリット

クラウドコールセンターの3つのデメリット

・セキュリティの心配
・カスタマイズの柔軟性が低い
・連携システムはプロバイダ依存

を解説します。

セキュリティの心配

クラウドコールセンターの使用で心配の声が多いのがセキュリティ面です。
コールセンターは膨大な顧客のデータを抱えるため、セキュリティを重要視します。
データが漏洩すれば、企業の信用問題につながるからです。
しかし、クラウドコールセンターはあくまで製品を作ったベンダーのセキュリティポリシーに依存します。

クラウドコールセンターは2000年代初めから提供されているサービスもあるため、セキュリティ面もかなり強化されてきました。
ベンダー側もセキュリティが重要な要素であることを理解し、各社強化を続けています。

また、クラウドコールセンターでは在宅勤務が可能であるため、オペレーターそれぞれの個人情報の取り扱いにも細心の注意が必要です。
パソコンやクラウドコールセンターシステムにロックをかけることは大前提で、新人の方にも十分にセキュリティ教育しなければなりません。

カスタマイズの柔軟性が低い

クラウドコールセンターは、製品を作ったベンダーのシステムを使用するため、柔軟なカスタマイズができません。
カスタマイズとは、受電ボタンの配置や色、顧客情報ポップアップ表示方法などの変更のことです。
オンプレミス型コールセンターであれば、自社に合った独自のカスタマイズができます。
逆に言えば、クラウドコールセンターは0から作り上げる必要がないため、開発ではなく運用に時間を割けるとも言えます。

連携システムはベンダーに依存

クラウドコールセンターのシステム連携は、製品を作ったベンダーに依存します。
ベンダーが「連携不可」といえば、どうすることもできません。
システム制限はクラウドサービスの弱点です。
オンプレミス型であれば、自社が使いたいシステムを初めに羅列し、システム構築の段階から導入を考えられます。
しかし、クラウドコールセンターシステムも進化しており、CRM連携、自動音声案内連携、ACD連携など様々な機能を連携できるサービスも増えています。

まとめ

クラウドコールセンターは、インターネットとパソコンがあれば、場所を問わずにすぐにでも運用できるコールセンターです。
電話機やPBXなど物理的なコストは必要なく、インターネット上で完結できるため、導入コストが安く、導入スピードが早く、在宅勤務を可能にしたり、災害時のリスクを減らすなど様々なメリットがあります。
稼働状況が見えるため、オペレーターの管理も心配ありません。
無料トライアルを実施しているベンダーもありますので、一度検討してみてください。

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