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クラウドコールセンターシステムの導入は、インターネット経由で簡単に行えます。導入コストやテレワークへの対応、その他の利便性を考慮すると、これからの時代のコールセンターは、「クラウド型」が主流となっていくでしょう。
そこで今回は、クラウドコールセンターシステムを導入するメリットについて、注意点やサービスの選び方とともに解説します。これからコールセンターを設置しようとお考えの方、既存のコールセンターの改良を希望する方などは、ぜひこれを機に「クラウド型」の導入をご検討ください。
クラウドコールセンターシステムとは?
クラウドコールセンターシステムとは、インターネットを通じて利用できる、コールセンターの業務に役立つ機能の体系です。自動音声や通話の録音をはじめ、さまざまなことができるようになり、コールセンターの業務効率化や対応品質の向上につながります。
クラウドコールセンターシステムの基本機能3つ
クラウドコールセンターシステムが持つ機能は、主に以下の3種類です。これらの機能により、コールセンターの円滑な業務がサポートされます。
1. CTI
CTIとは、コンピュータと電話通信を連携させること、「Computer Telephony Integration」の略称です。コンピュータが自動的に着信をオペレータに振り分けたり、ボタン操作1つで発着信や通話の録音をしたりといったことができます。
またCRMと連携させ、CRMに記録された顧客データをもとに、過去のやり取りの内容や適切なトークスクリプトを提示し、円滑な会話をサポートするといったシステムです。
2. CRM・問い合わせ管理
CRMとは、顧客との関係性の管理、「Customer Relationship Management」の略称です。顧客の基本情報や購入履歴などを管理します。
また問い合わせ管理は、顧客からの問い合わせに関する情報を一元的に管理します。応対の日時情報はもちろん、やり取りの内容や対応したオペレーターの名前なども履歴として残せます。
CRMおよび問い合わせ管理で収集したデータは、上述のCTIによってコンピュータに搭載され、コールセンターの業務に活用されます。
3. PBX
PBXとは、内線と外線の接続や、内線同士の通話などを制御する機器のこと。「Private Branches Exchanger」の略称で、日本語では「構内交換機」と訳されます。
PBXがあれば、契約した外線番号(親番号)とは別に、部署ごとで子番号を子番号を作ることが可能です。これにより、ある部署から他の部署へ、例えばオペレーターから担当者へ着信を転送するといったことが実現できます。
また複数の子番号からの発信を、相手側にはすべて代表番号として表示させることも、PBXが持つ機能の1つです。
クラウド型とオンプレミス型の比較・違い
クラウド型 | オンプレミス型 | |
---|---|---|
設置場所 | インターネット上 | 自社内(PBX装置) |
導入費用 | 安い | 高い |
導入スピード | 早い | 遅い |
構築・運用自由度 | 低い | 高い |
テレワーク | 可能 | 不可能 |
クラウド型は、インターネットを経由して、既存のコールセンターシステムを利用するタイプです。クラウド型の場合、自社でサーバーを設置したり、ソフトウェアを購入したりする必要がないため、低コストで手軽に導入できます。また導入スピードも比較的速いです。
一方でオンプレミス型とは、社内に機器を設置し、サーバーやソフトウェアなどを独自に運用するタイプのこと。オンプレミス型の場合、コストはかさむものの、自社の業務内容や形態に合うよう、システムを自由にカスタマイズできるという魅力があります。
クラウドコールセンターを導入するメリット
以下では、クラウドコールセンターシステムの導入で得られる効果・メリットについて解説します。
導入・運用コストが低く、導入スピードも速い
クラウド型コールセンターシステムは、導入にかかるコストがオンプレミス型と比較して格段に低いです。インターネット環境さえあれば利用できるので、専用の機器を購入する必要がなく、初期費用があまりかかりません。
また導入にあたって、データセンターを確保したり、ネットワーク回線の契約をしたりといった手間はなく、簡単な設定だけで利用を開始できる点も魅力です。導入までのプロセスが少なく、導入スピードもかなり速い傾向にあります。
さらに運用にかかるコストについては、月々のライセンス料はかかるものの、システムの保守・更新をすべてプロバイダーに任せることができます。そのため、システムを維持するための人材は基本的に不要で、業務の工数や人件費を節約することが可能です。
在宅勤務・テレワークにも対応できるように
クラウド型コールセンターシステムは、インターネット環境さえあればどこでも利用できるため、テレワークにも簡単に対応できます。完全な在宅勤務であるフルリモートを実現することも難しくなく、社員のワークライフバランスを実現することが可能です。
また在宅勤務なら、地域を限定せずにオペレーターを雇用できます。なかなか人材が集まらない地方の企業でも、全国的に募集をかけることで、人手不足が解消する可能性もあります。
緊急時のデータ復旧および事業継続が容易である
クラウド型のコールセンターシステムでは、複数のデータセンターでバックアップが行われるので、データが損失・破損した場合の復旧が比較的容易です。
一方でオンプレミス型のコールセンターシステムでは、自然災害やテロなどで自社の拠点が破壊されると、データを早期に復旧することはできません。高い確率で、事業の継続が困難になってしまいます。
これに対し、クラウド型なら、緊急事態で拠点がダメージを受けてしまった場合でも、ほかの拠点と同期すればデータの復旧が可能で、すぐに事業を再開できます。
AIやチャットボットなど、最新技術を手軽に試せる
クラウドコールセンターシステムでは、構築や保守・運用をプロパイダーに任せられるので、自ら導入するのが難しい最新技術も簡単に取り入れられます。高額な専門機器を導入するわけではないため、十分に活用できなかった場合のリスクも少ないです。
よって、AIやチャットボットなど、先端的な機能を気軽に試してみたい場合にも、クラウドコールセンターシステムは適しています。
顧客満足度が向上し、成約率が上がる
コールセンターシステムには、自動的に適切なオペレーターに着信を振り分ける「着信分配」の機能が搭載されています。この機能により、応対の品質が向上し、顧客側の待ち時間も減ります。
また過去の応対履歴を参照しながら会話したり、スーパーバイザーが通話を聴き、クレームに発展しないようアドバイスを送ったりといったことも可能です。以上より、コールセンターシステムを導入すれば、顧客満足度が上がり、成約率も改善すると考えられます。
すぐにスタートしたいならコールセンターの外注も
コールセンターのオペレーターを自社で準備するのではなくアウトソーシングすることで、訓練されたオペレーターから早期にコールをスタートすることも可能です。
また、コールセンターシステムの選定基準が不明でどのシステムが自社に最適なのか判断できない際には、情シス代行サービスを活用すると導入が早く進むはずです。
情シス代行サービス15選の記事が参考になりますので、ぜひご覧ください。
「情シスアウトソーシングのサービス15選」記事はこちら→
クラウドコールセンターの導入に関する注意点
一方、クラウドコールセンターの導入には、以下のようなデメリット・注意点もあるので気をつけましょう。
長期的に運用すると月額料金がかさむ
クラウドコールセンターシステムを導入する場合、初期費用は安いですが、初期費用以外に月々のライセンス料(利用料)をプロバイダーに支払う必要があります。一方、オンプレミス型の場合は、一度導入してしまえば、運用・保守にかかる費用を除き、お金はほとんどかかりません。
そのため、中長期的に見ると、オンプレミス型よりクラウド型のほうがトータルのコストがかさんでしまう恐れがあります。よって、導入を検討する際には、中長期的な試算を出し、クラウド型とオンプレミス型、どちらのほうが安いのか、確認するのがおすすめです。
カスタマイズが難しく、機能が使いにくい場合も
クラウド型コールセンターシステムでは、プロバイダーから提供される既製のシステムを利用するため、機能を自由にカスタマイズするのは難しいです。そのため、業務の内容や形態によっては、使いづらい、使いたい機能があまりないといった事態も想定されます。
一方、オンプレミス型であれば、自社の業務に最適化するよう設計されるので、使いたい機能がないという事態はまず起こり得ません。既製品にはないような特殊な機能を使いたいといった場合には、オンプレミス型もあわせて検討してみてください。
セキュリティ面の脆弱さが懸念される
クラウドコールセンターシステムでは、顧客情報や通話記録などをネットワーク上で管理するため、オンプレミス型に比べて、セキュリティ対策が難しいという側面があります。実際、情報漏洩のリスクを危惧して、コールセンターシステムのクラウド化を躊躇する企業も存在します。
とはいえ、昨今は万全のセキュリティ体制を誇るサービスも増えてきており、懸念は薄らぎつつあります。
クラウドコールセンターの導入方法・必要なもの
クラウドコールセンター導入の一般的な流れ
1.利用者:公式サイトのフォームなどから申し込み
2.業者:システム生成や開通の手続き
3.利用者:マニュアルに沿った初期設定後、利用開始
上記の通り、クラウドコールセンターシステムの導入にあたり、利用者がしなければならないのは、申し込み手続きと簡単な初期設定だけです。業者が行う利用環境の準備は、3営業日ほどで完了し、その後設定が済めばすぐに使い始められます。
クラウドコールセンターシステムの導入に必要なものは、インターネット環境・パソコン・ヘッドセットくらいです。基本は業者が用意してくれるので、利用者のほうで特別な機材などを揃えないといけないことはありません。
クラウドコールセンターシステムの選び方
導入するクラウドコールセンターシステムを選ぶ際は、以下のポイントを意識するのがおすすめです。
インバウンドかアウトバウンドかで選ぶ
コールセンターシステムは、受電(着信)に特化した「インバウンド型」と、架電(発信)に特化した「アウトバウンド型」の2種類です。システムを選ぶ際は、どちらをメインにしたサービスなのかを確認しましょう。
顧客からの問い合わせに対する対応を円滑化したいならインバウンド型、電話をかける作業の効率化を望むならインバウンド型がおすすめです。
コールセンターの規模に合ったものを選ぶ
コールセンターの規模により、必要な回線やオペレーターの数が変動するため、適切なシステムも変わります。よって、システムを導入するコールセンターの規模を意識し、サービスを選ぶことも重要です。
例えば、単独の部署が運用するコールセンターなら小規模なシステムでも良いでしょう。一方で会社全体の発着信を束ねるような、大規模なコールセンターの場合、システムも大掛かりなものにしなくてはなりません。
一般的にコールセンターの規模が大きくなればなるほど、導入後の変更や調整が難しくなるので、事前に十分な検討を重ねる必要があります。
テレワークに対応できるかで選ぶ
クラウドコールセンターシステムの導入により、在宅勤務を拡充したい場合は、テレワークに適したものを選びましょう。具体的には、インターネットとPCだけで簡単に利用できるシステムをおすすめします。
なお、テレワークに強いシステムは、公式サイトや資料でそのことが強調されている場合が多いです。そうした情報に加え、インターネットの口コミ・評判も確認して複数のサービスを比較・厳選すれば、テレワークに最適なサービスが見つかるでしょう。
セキュリティ体制の充実度で選ぶ
クラウドコールセンターシステムにおける情報管理の安全性は、システムを提供するプロバイダーのセキュリティ体制に大きく依存します。そのため、セキュリティが強固であることが確認できるプロバイダーを選ぶことが大切です。
具体的にはIPアドレスを用いたアクセス制限や暗号化通信、バックアップオプションの提供など、適切なセキュリティ対策を講じているプロバイダーをおすすめします。
外部システムとの連携ができるかで選ぶ
コールセンターでは、CTIシステム・CRMシステム・PBXシステムなど、機能が異なる複数のシステムを連携させて活用するのが一般的です。そのため、複数社と契約して、それぞれのシステムをつなげて使うといったことも珍しくありません。
よって、基本的には外部システムとの連携に対応したサービスを選ぶのがおすすめです。サービスによっては、外部との連携実績がなかったり、追加費用が必要だったりすることもあるので注意しましょう。
外部連携ができれば、あとから新しい機能を追加する、既存の機能を強化するといったカスタマイズも、ある程度可能になります。
クラウドコールセンターを無料で使ってみましょう!
クラウドコールセンターシステムを提供する業者は、無料トライアルを実施していることが多いです。物は試しなので、少しでもクラウドコールセンターの導入に興味があれば、ぜひ一度実物を使ってみましょう。
また資料請求によって、お得な特典がもらえることもあるので、複数の資料を取り寄せ、使える機能や料金を比較してみるのもおすすめです。これを機会に、クラウドコールセンターの導入に向けて、積極的に行動してみてください。